FX初心者は、証拠金と残高の関係が見えないと思います。ここで詳しく解説したいと思います。
いろいろな用語が出てくるので、整理しながら解説していきます。
FX取引の基本的なこととして
FXは、売買の都度、代金を受け渡すのではなく、決済により生じた利益または損失のみを受け渡す差金決済を行う取引です。
このような取引では損失が生じた場合でも決済ができるよう一定の資金を預け入れます。
預け入れた資金を証拠金といい、証拠金を使用した取引を証拠金取引といいます。なお、未決済の保有残高をポジションといいます。
つまり、外国通貨をFXで買ったときには、代金の支払いは必要ないということです。支払わない代わりに、支払額に相当する金額を担保として口座に持っていなければなりません。
FXは反対取引で決済が行われることを前提としているので、買いポジションは売り注文で、売りポジションは買い注文を出して、約定したときに初めて決済が行われ、利益が出れば口座に振り込まれますし、損失が出れば口座から差し引かれます。
ここが初心者には全く見えない点だと思いますので、押さえておいてください。
証拠金について
FX取引をする際には、資金を口座に入金します。この資金を証拠金といいます。
現物取引なら、この証拠金の金額以上の外国通貨を買うことはできませんが、通常はレバレッジを効かせることが多く、最大で口座残高の25倍の取引が可能です。
FX取引をする場合は、この資金を担保にして大きな金額を動かします。10万円を口座に入れた場合は、最大25倍の250万円の取引が可能です。
取引をするためには、2種類の証拠金が必要で、外国通貨を買う資金+証拠金が残高になければ取引ができません。
証拠金は、FX業者によって名前が微妙に違いますが、基本的には、外国通貨を買うときに必要な証拠金と、買った後(ポジションを得た後)にポジションを維持するために必要な証拠金があります。
基準価格 × 1/25(レバレッジ25倍のとき)= 必要証拠金
必要証拠金 × ポジション保有数量 = ポジション必要証拠金(取引必要証拠金)
※証拠金の金額はリアルタイムでの為替相場によって常に変動しています。
特に重要なのは、ポジションを維持するために必要な証拠金で、これが不足すると取引がすべて中止され強制的に買いポジションなら売り、売りポジションなら買いの売買が行われて、証拠金の不足が解消されます。
これがロスカットと言われるものです。
買うときに必要な証拠金について
FXでは、取引をする方のほとんどはレバレッジをかけた取引をしていると思います。
レバレッジとは、口座残高が10万円だとすると、その10万円を担保にして、最大で25倍の250万円の取引ができる仕組みを言います。この場合はレバレッジが25倍といいます。
言い換えれば、1Lot(一般的には1万通貨単位)の取引に必要な金額が100万円だとすると、最大でその25分の1の「4万円の残高」で100万円の取引ができるのです。
レバレッジ25倍で米ドル(144.4円)を1万通貨単位(1Lot)買うとき、現物なら144.4円×1万=144万4千円が必要ですが、25倍のレバレッジなら5万7,760円の残高があれば1万通貨単位を買うことができます。
この57,760円を必要証拠金といいます。
為替相場は常に変動しますので、必要証拠金もリアルタイムで変動します。10万円の残高があれば必要証拠金には十分でしょう。
これが仮に1ドル150円になったところで売れば、(150円ー144.4円)×1万倍=56,000円の利益が確定し、口座に振り込まれます。
これは現物で買った場合も、レバレッジ25倍で買った場合も同じ利益です。つまり、小額の資金で現物を売買するのと同じ利益が出せるということです。
★FXでは基本的に買い注文の場合でも売り注文での場合でも、それぞれの必要証拠金を用意する必要があります。
ポジションの維持に必要な証拠金
これは、外国通貨を買った後、口座の既存の未決済の取引(オープンポジション)を維持するために確保される口座の資金の一部のことです。
※決済とは、手持ちのポジションを手仕舞うための注文により、買ったポジションなら売り注文で、売ったポジションなら買い注文で利益や損失を確定させることです。
例 あなたはドル/円が上昇すると予想しドルを買います。ドルの買値は144.4円です。
この買値でドル/円のポジションを1Lot 保有するために必要な証拠金額は、レバレッジ25倍なら約5万7,760円です。
現在、あなたの口座には10万円の資金があります。取引に必要な資金があることを確認したあなたは、ドル/円の買いポジションを1ロット保有しました。
その後、あなたの予想に反してドル円は急落し、証拠金率(証拠金有効残高÷維持証拠金)が75%を下回ってしまいました。この時点でFX業者は保有する客のポジションを強制的に清算する「ロスカット」を執行します。
※ロスカット執行の証拠金率はFX業者によって異なります。
※ポジション必要証拠金はリアルタイムで更新されます。
※必要証拠金は、1万通貨あたりの額で表示しています。 維持証拠金は、TRY(トルコリラ)/JPYはレバレッジ25倍で計算した額、それ以外は必要証拠金と同額です。
証拠金有効残高とは:証拠金と含み損益を合わせた金額のことです。
例えば、10万円の証拠金(口座残高)があるとします。5万円の利益が出ている場合、有効証拠金は10万円+5万円=15万円です。
このときの証拠金率は (15万円÷57,760円)×100%=259% です。
3万円の損失が出ている場合は、有効証拠金は10万円ー3万円=7万円になります。
このときの証拠金率は (7万円÷57,760円)×100%=121% です。
6万円の損失が出ている場合は、有効証拠金は10万円ー6万円=4万円になります。
このときの証拠金率は (4万円÷57,760円)×100%=69% です。
100%を切っているので証拠金の金額に不足します。
どこかの時点でロスカットが発動することになるでしょう。
※FX業者によってロスカット発動の証拠金率が異なります。
複数の外国通貨を保有しているときは証拠金率に注意
米ドルだけをポジション保有しているだけなら、ロスカットにならないよう注意していることは容易です。
ところが、複数のポジションを持っていると、ポジションの維持に必要な証拠金は合算して証拠金率を出さなければなりません。
為替相場はリアルタイムで変動しますから、FX業者の取引画面に証拠金率がリアルタイムで表示されていると管理がしやすいですね。
多くのFX業者の取引画面には表示されていると思いますので、ポジションを持ったら証拠金率に常に注意しましょう。
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