FX ロスカット 強制決済

FX入門編

FXにおいて、ロスカット強制決済とは怖そうな名前ですが、本来は投資家が大きな損失を被らないようにするためのものなので、むしろ歓迎する制度ではあります。

ところが、実際のところ非常に具合が悪いのが本音です。

FX取引をする際には、証拠金を口座に入金します。5万円の証拠金が必要なポジションなのに、損失が出て8万円の証拠金が必要になった場合は、マイナス3万円の不足ですからFX会社から3万円を借金している状態です。

これではFX取引ができないので、こうなる前に証拠金の比率が一定の割合を下回ると、FX会社がすべての注文をキャンセルし、すべてのポジションが強制決済されてしまうのがロスカットです。

FX会社が損失を負わないためであり、同時に投資家が大きな損失を被らないようにするためでもあります。

ロスカットの例 ヒロセ通商の場合

ロスカット計算方法を検索してみて、初心者に一番わかりやすかったのがヒロセ通商のサイトでした。次に要約したものをあげてみます。

(内容は2020年現在です。)

ヒロセ通商では、個人の場合、有効比率(証拠金率)が100%未満となった時点でロスカットが発動します。

有効比率%=(有効証拠金÷必要証拠金)×100です。

■次の条件で保有中のUSD/JPYの買いポジション1Lot(1,000通貨)が、ロスカットとなった場合です。

・買いポジションの約定価格が147,000円(1ドル147円)
・預託金が10,000円(預託金とは証拠金のこと)
・1Lotあたりの必要証拠金は5,880円(レバレッジ25倍)
(147円×1000ドル)/25倍=5,880円
・USD/JPYの売りレートが141,000円(1ドル141円)

必要証拠金=1Lotあたりの必要証拠金(5,880円)×1Lot(1,000通貨)
=5,880円です

有効証拠金=預託金(証拠金)+評価損益 で計算するので先に評価損益を計算します。

評価損益={売り(評価レート)-買い(約定価格)}×1Lot
=(141,000円-147,000円)×1Lot
=-6,000円(損失)
これにより
有効証拠金=10,000円+(-6,000円)=4,000円となります。

(※1000通貨単位です。)

ここで有効比率

有効証拠金(4,000円)÷必要証拠金(5,880円)×100=68.0%

100%未満なのでロスカットされます。

1ドル143円の時点なら

評価損益={売り(評価レート)-買い(約定価格)}×1Lot
=(143,000円-147,000円)×1Lot
=-4,000円

有効証拠金=10,000円+(-4,000円)=6,000円

有効比率=有効証拠金(6,000円)÷必要証拠金(5,880円)×100=102%

100%以上なのでギリギリです。
ただし、ただちに対応が必要です。
売り注文を出すか、小額なので証拠金を増やすと良いと思います。

ロスカットまでの値幅計算

有効証拠金-必要証拠金=余剰金
余剰金÷通貨数量=ロスカットまでの値幅

・有効証拠金とは:取引証拠金に評価損益を加減算したもの
・必要証拠金とは:ポジションを維持するために必要な金額
・ロスカット基準とは:有効証拠金が必要証拠金を下回った時点

(買ポジションを保有している場合)

ロスカット値=余剰金を計算した時の為替レート-ロスカットまでの値幅

(売ポジションを保有している場合)

ロスカット値=余剰金を計算した時の為替レート+ロスカットまでの値幅

■具体例
前記と同様の例で計算します。

USD/JPYを1ドル147円で1,000ドル買った場合で、有効証拠金が10,000円の場合

レバレッジ25倍として
有効証拠金:10,000円
必要証拠金:(147円×1000ドル)/25倍=5,880円

余剰金=10,000円(有効証拠金)-5,880円(必要証拠金)=4,120円

ロスカットまでの値幅

4,120円(余剰金)÷1,000ドル(通貨数量)=4.12円 となります。

買ポジションを保有しているので

ロスカット値=147円-4.12円=142.88円

143円を下回った時点でロスカットです。

これは前記の計算結果と一致しますね。

このようにヒロセ通商の計算例は分かりやすく、ほかにもいろいろな計算例が出ているので初心者にもやさしいです。

証拠金維持率が何%になったらロスカットが発動させるのかはFX会社によって違います。

為替相場は常に変動しています。

突然のロスカットを避けるためには、リアルタイムで必要証拠金、余剰金、有効証拠金、有効比率を常に把握し、FX口座に十分な残高を残しておくことが対策となります。

ロスカット基準額とは、純資産額がこの金額を下回ると自動ロスカットされてしまうという金額のことです。

逆に言えば、ロスカット基準額まで純資産が減らないように管理できれば、自動ロスカットされることはありません。

 

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